冥国アシハラ

概要

アシハラは東の島シャハグを治める唯一の国です。
首都は、島東のガンドー平野にあるイェドです。
国の象徴は菊と桜で、不死山と呼ばれる優美な風貌の独立峰も有名です。
イメージは江戸時代初期の日本です。

国名の由来

アシハラという名称は、国名であり君主の一族の姓でもあります。
これは芦の多く茂る土地を治めていたためと言われています。
冥国という異名については諸説ありますが、冥界に落ちたアシハラ初代君主が強力な死人使い(アシハラでは屍人使い)の能力を身につけて再び地上に戻った伝説に基づくという説が有力です。
今でもアシハラ家の血筋には優れた死人使いが多く、その恐るべき不死の軍勢の力によって、遂にシャハグを統一するに至りました。
しかしながら彼らの一族は恐るべき呪いにかかっているとも言われています。
その噂が真実かは不明ですが、現在のアシハラ君主ヤイエ・アシハラは白い頭巾で顔を覆い隠しており、その素顔を知るものがほとんど誰もいないのは事実です。

歴史

アシハラは旧時代と新時代の中間、つまり文字文化のなかった時代に勃興した、1000年以上の長い歴史を持つ国です。
しかしながら初期のアシハラは、決して強大な国ではありませんでした。
上記の通りアシハラ家は呪いにかかっていると噂されており、婚姻に並々ならぬ苦労をしたためです。
もしもアシハラ家に充分な人数が揃っていれば、シャハグの統一は数百年ほど早まったとも言われています。

政治

絶対君主制で、アシハラ君主ヤイエ・アシハラを筆頭として大老・老中・若年寄・奉行などの役職に就く者たちが統治を補佐しています。
しかしながらシャハグ統一から間もないためか、現在でも反乱や亡国の再起を企てる者がおり、政情はやや不安定です。

治安

不穏な情勢はくすぶり続けていますが、サムライ衆(他国では騎士団に相当)による治安維持もあって、市井は概ね安定しています。
都市部では夜道を歩いてもほとんど問題ありません。
郊外の野山では牢人や野盗、魔物に襲われる危険性もあるため、腕に自信のない者は護衛を雇うか、もしくは比較的安全な街道沿いに沿って移動をするのが常套手段となっています。
不慣れそうな異国人が外に出ようとする際は、門番が各国語で記した注意書きを見せながら忠告してくれるので、何も知らぬままで危険な目に遭うことはありません。

経済

地勢的に他国との軋轢がなくなったため、経済は安定に向かいつつあります。
暮らし向きは職業と個性によってそれぞれです。
都市部に住む者は二次・三次産業が多いですが、農業や畜産業に従事する者も存在します。
戦乱が終わり、人々の暮らし向きも安定しつつあるためか、緩やかなデフレ傾向にあります。

貨幣

貨幣は三貨制度を採用しており、金・銀・銅貨が流通しています。
通貨単位はそれぞれ「両」「匁」「銭」で、金1両=銀100匁=銅10000銭と定められています。
住居のある庶民の1日の生活費は70~100銭(=1匁)ほどで、1食あたり20~50銭です。
都市部の庶民的な旅籠の宿泊代は400銭=4匁ほどです。
両替も発達しており、国内貨幣の両替は1パーセント、海外貨幣の両替は2パーセント、宝石の両替は5パーセントが手数料としてかかります。

国民

シャハグ人が多くを占めていますが、他国から移入した別の人種も一定数存在します。
他国に比べてシャイな者が多いといわれており、実際、異国人相手には逃げ腰となってしまう者も少なくありません。
そのため他国の者たちからは、偏見が強く少々付きあいづらい人種と見做されています。
もちろん、シャハグ人の特性を理解したうえで親交を結ぶ異国人も少なくなく、そのような関係を築けた者は、次第に他のシャハグ人たちからも信頼を寄せられるようになります。
国内言語はシャハグ語で統一されており、一部の知識人(主に外交・貿易の従事者)は他国の言語も身につけています。
シャハグ人の95パーセント超は黄色人種で、髪や瞳の色は遺伝により様々です。

地勢

アシハラの領土はすべて島から成っています。
国土の約40%が山岳地帯であり、約60%の森林率です。
周囲を海で囲まれており、島の北部にあるフツ半島はジーアレンゾ共和国と近いですが、間にあるラムッカ海峡には大渦が常に発生しており、直進による航行は非常に危険です。
南北の最大幅は約300km、東西の最大幅は約400km、全周は約2300kmになります。

気候

温暖湿潤気候で四季があり、シャハグ南東にある首都イェドは夏季30℃前後、冬季マイナス5℃前後になります。
シャハグ北部はそれよりも寒くなり、冬季は雪に覆われます。
初夏には梅雨があり、秋には台風が通過することもしばしばです。

食文化

主な農作物はコメで、芋・蕎麦・小麦・豆・サトウダイコン・その他雑穀が栽培されています。
果物は林檎・葡萄・梨・桃・蜜柑・柿・あんず・すいか・枇杷などが栽培されています。
主な酒精はコメから作られる清酒と濁酒、麦や芋から作られる焼酎です。
四方を海に囲まれているため海産物も豊富です。
一方において畜産はやや低調で、卵や乳製品は他国に比べ高値で取引されています。
肉類は、牛や豚などといった畜産物の肉よりも魔物の肉が多く出回っています。
パン・一部の菓子類・ワイン・ウイスキーなどは、移住者によって作られるか輸入に依存している為、流通量は総じて低めです。
海藻や魚から取れるダシを基調とした旨味中心の料理は、他国からの注目が近年高まっています。

他国との関係

昔からイゼムテ都市連合との自由貿易が活発で、複数の重要な同盟や協定を締結しています。
また、ジーアレンゾ共和国とは相互不可侵ならびに貿易協定を締結しています。
魔獄ティ・ハが顕現する以前にはルセス神聖領とも交流がありましたが、現在は様々な理由により交流が途絶えています。

グランツィヒ帝国とは国交断絶こそ行っていませんが、かなり険悪な状況です。
同盟相手のイゼムテ都市連合がグランツィヒ帝国と紛争中のため、アシハラが自国のサムライ衆を『都市連合が雇った傭兵という立場を取らせて』援軍派遣しているためです。
直接の援軍を送らない理由は、他国への武力介入を最小限に食い止めるためです。
しかしながらアシハラにとって、都市連合は唇歯輔車の関係と考えられています。
もしも帝国が南の大陸ジンガンドを制覇すれば、次に矛先を向けるのは北の大陸エデか東の島シャハグのいずれかになりますが、三カ国を攻略する必要のあるエデよりは、一カ国しかないシャハグを選択する確率が高いでしょう。
また、派遣しているサムライ衆は亡国の牢人(かつての敵国のサムライ衆)の再就職者が大半で、彼らの鬱憤や支払うべき給与を他国同士の紛争を利用することによって解消する効果も望めます。
当然ながらアシハラの思惑や動きは帝国も察知していますが、内乱による領土独立で足元を掬われた今の帝国には、遠国のアシハラにまで宣戦布告を行えるほどの余力がないのが実情です。

その他

アシハラ家が先祖代々受け継ぐ不死山麓の禁足地には、終焉の神にして幽冥と敗北の悪魔アプ・ネが封印されていると言われています。
また、アシハラ家の死人使いの能力は悪魔アプ・ネに授けられたという説もありますが、真相はアシハラ家の者にしか分からないと言われています。

  • 最終更新:2017-03-09 00:35:59

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